NHKエデュケーショナルのお仕事、紹介します。

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入社後に所属した部署を教えてください。

入社してすぐに1か月の研修がありました。働いている先輩たちの話を聞いたり、ロケや収録の現場を見学したり、各部署がどんな業務を行っているのか見て回りました。僕自身、特に希望の部署はなかったのですが、学生時代にポーランド語というマニアックな言語を専攻していたこともあり、語学部への配属もすんなりと受け入れることができました。
語学部は、NHKで放送している語学番組を制作する部署です。英語はもちろん、アジアやヨーロッパなど幅広い地域のさまざまな言語を扱っていて、「新しい外国語の勉強にチャレンジしたい」という視聴者のニーズに応える番組を制作しています。

語学部ではどんな番組を担当しましたか?

テレビで中国語』という25分番組です。中国の文化的な情報を紹介する5分の企画コーナーを担当するところからスタートして、外でのロケやスタジオでの収録を繰り返しながら番組制作について覚えていき、最終的に25分まるまる1本を担当することになります。
2年目に、「ビジネス中国語」をテーマにした新しいシリーズの立ち上げを任されました。教材となる20話分の「スキットドラマ」を中国・北京で3週間ほどかけて撮影しました。ストーリーは、日本の家電メーカーに勤めている男性が中国に行き、中国市場でヒットする商品を開発して売り込んでいく過程で言葉をどんどん覚えていくというものです。セリフはもちろん、ドラマで出てくる商品やロゴマークのデザインも全部自分で考えました。終盤では、信頼していた工場長に裏切られるという設定も入れました(笑)。ちなみに開発したのは、食材を入れてボタンを押せばホカホカの丼ができあがる、ポータブルなお弁当調理マシン「熱々先生(あつあつせんせい)」という商品です。中国の人は冷たいご飯を好まないというリサーチをもとに考えました。現地の家電量販店で実際の営業時間中に販売会のシーンを撮るというロケもしました。自分のアイデアをもとに、おもしろく作れて、とても楽しいロケだったのを覚えています。

現在のお仕事内容を教えてください。

今は特集文化部という部署に所属しています。特集文化部は、ドキュメンタリーや美術、バラエティーなど多種多様な番組を制作する部署です。ここで初めて担当したのは『日曜美術館』で、美術館紹介のコーナーを制作しました。そのほかにも、同じ美術番組の『美の壺』や、インタビュー対談番組の『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』、40日ほど主人公に密着する『プロフェッショナル 仕事の流儀』などの制作も経験しました。
NHKエデュケーショナルの社員には、ADと呼ばれるようなアシスタントディレクターはいなくて、1年目からディレクターとして番組を制作していきます。語学番組でも美術番組でも、まずはリサーチや取材を重ねながら番組の構成を練ることから始めます。
「どういうテーマで何を伝えたいか」が決まると、次はスケジュール調整です。限られた時間でどうすれば効率的に撮れるのか、細かい部分まで考えていきます。遠方でのロケの場合は、出演者やスタッフの宿泊先まで手配します。撮影が終わると編集作業です。編集や音響効果など、その道のプロの方たちと一緒に番組を完成させていきます。ディレクターは、自分の中で生まれた企画のアイデアを、その都度いろんな人の力を借りながら育て、放送まで伴走するので、まるで親が子育てをする時のような喜びがあります。

2015年、Eテレ 日曜美術館『まど・みちおの秘密の絵』でATP賞(奨励新人賞)を受賞 ※ATP賞
製作会社の社会的機能を高め、制作スタッフ一人ひとりの情熱や気概に応えるために、創り手である製作会社のプロデューサーやディレクターが自ら審査委員となって優れた作品を選ぶ賞。ドラマ部門、ドキュメンタリー部門、情報・バラエティー部門の3つのジャンルで作品を募集し、毎年100本を超える応募作品の中から、グランプリ、最優秀賞、優秀賞などが選出される。

担当した中で、特に印象に残っている番組はありますか?

2017年に制作したドキュメンタリー番組『ゴッホは日本の夢を見た』です。ゴッホが日本に憧れていたという有名な話があるのですが、彼が日本だと思って移り住んだ南フランスの街に実際に赴き、その足跡をたどって「ゴッホが夢見た日本とは何だったのか」を探る美術紀行番組です。
特集番組なので、レギュラー番組とは違い、本当にゼロからのスタート。どういう場所に行くのか、どんな絵を見せるのか、誰に出演してもらうかなど、さまざまなことを考えなければなりません。ゴッホの伝記や評伝、残されている膨大な日記を読みあさり、長年研究している方のところにも行き、実際にヨーロッパへ行って、ゴッホの絵を見て回りました。下見取材でアムステルダムのゴッホ美術館に行ったとき、「花咲くアーモンドの枝」という絵を見て衝撃を受けました。ゴッホには強烈なタッチで描かれた絵が多いのですが、そのイメージとは対照的な優しさをすごく感じたんです。この作品が僕の考えていた番組の内容と合致したので、ナビゲーターが旅をしながら、最後にその絵にたどり着くという構成にしました。ナビゲーターの方に、その絵を実際に見て感じたことを言葉にしてもらうシーンを撮ったのですが、自分の想定をはるかに超える新鮮な言葉に身震いしました。
自分の思いを共有できるという意味でも、そういうすばらしい瞬間が撮れるという意味でも、番組づくりの醍醐味を味わえた非常に貴重な体験でした。

オランダ郊外で、『ゴッホは日本の夢を見た』の撮影
お世話になったゴッホ美術館で、ヴィレムさん(ゴッホの弟・テオの孫)と記念撮影

「育児休職」を取得された経験があるそうですね。

2018年に2人目の娘が産まれて、1か月ほどお休みをいただきました。1人目のときは2週間ほど休んだのですが、会社には「育児休職」の制度があるので、それを利用してしっかり休みを取ろうと決めました。というのも、夫婦とも実家が遠く、両親に助けてもらうことが物理的に難しかったからです。上の子の保育園のこともあり、里帰り出産せず、休みを取って妻のサポートに専念しました。
上司に相談したら、「いいじゃん」「むしろ1か月で大丈夫?」と声をかけてもらったので、とてもありがたかったです。
ふだんも、フレックスタイム制で働いているので、例えば娘が熱を出して保育園から連絡が来たときにも対応ができます。最近では在宅勤務制度を使って、月に何日か自宅で仕事をする同僚も増えていますし、うちは共働きなので、こうしたフレキシブルな働き方ができる環境はとても助かっています。

大学生に向けてメッセージをお願いします。

僕たちの仕事には、「飽きっぽい性格」の人が向いているのではないかと思います。というのは、ひとつの番組を制作して放送を終えたら、また新しく次の番組をどんどん作っていくからです。番組の内容によって、歴史を扱うもの、サイエンス系、美術関係など毎回ジャンルはさまざまですし、僕のようにいきなりドラマをつくる場合もあります(笑)。扱うテーマも毎回違うので、ひとつのことをじっくりやるタイプよりは、いろんなものに関心がある、ありすぎるぐらいの人がちょうどいいかもしれません。自分が携わった番組で出会った“人”や“モノ”を次に制作する番組の提案に発展させていくこともあるので、いろんなことに興味を持てる人には、特にとても楽しい仕事だと思います。

山中 やまなか ディレクター
2010年入社
特集文化部

趣味:絵本あさり(子どもの影響で奥深さにハマリ中)
好きな音楽:ヒップホップ(大学時代はラッパーでした!)
無人島にひとつだけ持っていくとしたら:目薬(ドライアイになるのが嫌で、ポケットの中に常備)
最近いちばんうれしかったこと:10日間の地方ロケで全日快晴