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阿部 憲子(あべ のりこ)

阿部さんの所属する部署と、現在のお仕事内容を教えてください。

私はこども幼児部に所属しています。こども幼児部は、『おかあさんといっしょ』『ピタゴラスイッチ』など、乳幼児から就学児までの子どもたち、およびその保護者を対象に、数多くの番組を制作しています。また放送だけでなく、コンサートやイベント、DVDやCDなどのコンテンツ展開も行っています。
私は半年前から、『デザインあ』(毎週土曜 午前7時~7時15分 Eテレで放送)のプロデュースを担当しています。『デザインあ』は、グラフィックデザイナーの佐藤卓さん、インターフェースデザイナーの中村勇吾さん、ミュージシャンのコーネリアスさんを筆頭に、数々の気鋭のクリエーターたちが制作に携わっています。第一線で活躍するクリエーターの方々との制作は非常に刺激的で、斬新な映像表現や視点のシャープさに驚かされ、発見がたくさんあります。一方で、番組のプロデューサーという立場なので、感激しているだけではもちろんダメ。「身の回りのものごとをデザイン的な視点で見つめなおし、子どもたちにデザイン的な感性や思考を伝える」という番組のねらいからそれていないか、きちんと見る人に伝わるか、ということについては責任を持って判断しています。新しい映像表現をめざしてギリギリのところまで冒険しながらも、こども番組として“まっすぐなもの”を作りたいという思いで、緊張感を持って取り組んでいます。

『デザインあ』での新しい発見を教えてください。

これまで担当してきた番組では、取材して番組の骨格を考え、映像を撮影し編集してナレーションを入れるという、ロジカルな組み立て方で制作してきました。しかし『デザインあ』では、テレビ番組とは異なる方法論を持つクリエーターさんたちによる、言葉では説明できない説得力を持った映像表現があります。自分が今までにやってきた手法にはなかった映像表現です。
たった1/30秒の編集の違いで、見える印象が一気に変わったり、画面に出す文字ひとつとっても、幅、文字間、書体、行間、色、太さなど、徹底的なこだわりが詰まっています。最近では映像の1秒間が以前の何倍も長く感じるようになりました(笑)。

身の回りにあるモノを徹底的に観察するコーナー「デザインの観察」の撮影現場。1秒1000コマの超スローモーションで、ラムネびんにビー玉が落ちる様子をとらえるなど、わくわくする映像表現をめざして制作チーム一同試行錯誤中。

今まで特に印象的だったお仕事を教えてください。

こども幼児部の前は、特集文化部で美術番組を制作するとともに、テレビ放送以外へのコンテンツ展開を担当していました。テレビという枠を飛び出し、新しい場で映像を展開する機会を探して試行錯誤を続けていたのですが、美術作品を扱った映像には著作権をはじめさまざまな権利が付随するなど難しい条件も多く、なかなか突破口が見つからずにいました。
ひとつの手応えとなったのが、東京ミッドタウンで開催された『DESIGN TOUCH2014』(平成26年10月17日~11月3日)のメインイベント「スワリの森」の企画制作です。アートディレクターの古屋遙さん、『大科学実験』などの科学番組の監修をするガリレオ工房さんとともに手がけたこの企画は、大きな芝生の広場にアーティストたちが制作したいろんなイスを置き、来場者に自由に座ってもらうというもの。それぞれのイスには座ることで科学のしくみが体験できる楽しい仕掛けを組み込みました。日本列島の形と地球の丸みを10万分の1の縮尺で表し、実際の方位どおりに置いた「日本列島のベンチ」や、人間のからだ、ホッキョクグマのからだ等に含まれる水分量を、それぞれ美しい透明シートでくるんだ「水滴のイス」などです。デザインと科学をコラボさせることで、楽しさと発見があるクリエイティブな時間を来場者に提供することができました。
この仕事を経て、番組制作で培ったノウハウを映像ではない形で活かすことに可能性を感じました。異なる分野を組み合わせて化学反応を引き出すことや、情報を楽しく伝えるための方法論を、映像以外の分野にも展開するのです。テレビからどこまで離れたところまで展開できるか、挑戦したいと考えています。

『DESIGN TOUCH2014』(平成26年10月17日~11月3日)のメインイベント「スワリの森」。「紙の動物いす」(左写真手前)、「日本列島のベンチ」(右写真中央)など、デザインと科学が結びついて生まれた12のイスをめぐって、思い思いに座って楽しむイベント。

阿部さんの働き方の特徴って何ですか?

現在4歳と7歳になる子どもがいます。育児も100%、仕事も100%で両立するのは不可能だと痛感していて、仕事仲間たちや家族の理解とサポートを得ながら2つあわせてなんとか115%をめざしたいと思って一日一日を重ねています。
なので、時間のやりくりは常に考えています。例えば、小さな工夫として、手帳とノートの2冊を常に持ち歩いています。手帳には自分、子ども、家族、仕事のすべての予定を書き込み、週や月全体を見て流れをつかむ、ノートには仕事の内容や締め切りを書き込み、物忘れや時間のロスのないように。こうした方が、すぐに状況を把握できます。効果ありますよ(笑)。 収録などは決まった時間に終わるものではないため、夜遅くなることも少なくありません。ただ、仕事の進め方は個人の裁量に任されている部分も多いので、働き続けるための環境を整えることができているのだと思います。

ありがとうございました。

物腰柔らかで、優しく響く言葉の中に、確固たる仕事への信念や根性を感じさせる阿部さん。「どんな人がこの会社に向いていますか?」と質問を投げかけところ、このようなメッセージが届きました。

この会社に向く人はどんな人?

「つくることが大好きな人!番組、イベント、WEB、あるいは?5年後、10年後に、自分が何をつくっているのかはわからない。でもつくること、新しいことに挑戦することが好きだったら、何とかなるかな。」
阿部 憲子(あべ のりこ)
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